スキルに相当する報酬

武士は食わねど高楊枝という言葉があります。金がなくても、そんなことはおくびにも見せず、淡々と暮らす心意気と生き様を表しています。金のことについて話すこと自体が「卑しいこと」だという認識があったようです。人はもっと高尚なことに意識をおくべきで、金のことについてあれこれ話すのは下品だと思われていた節もあります。

現在でも、日本人はお金について話すとき、なにがしかの羞恥心のようなものを感じているように思います。他の国の人たちのように、あけっぴろげにお金について話すことは少ないのではないでしょうか。本音のところはともかく、表向きはそれほどでもない、という雰囲気を装うことが多いといえるようです。

やはり、昔からの影響が今も日本人の心のどこかに残っているかもしれません。しかし、仕事をしたらその報酬を受け取ることは当たり前です。仕事に応じた金額を得ることは、日本人でも他の国の人でも変わりはないはずです。しかも、それが特定の専門分野の知識を有するプロの場合、その知識や経験、スキルといった強みに相応する報酬を得ることも、また当然のことだといえます。野球やサッカーなどのプロスポーツ選手が契約に際して、直接あるいは代理人や弁護士を介して激しい条件闘争を行うというニュースがよく見られます。特別な技術や能力を持つ人にとって、それに見合う金額を要求することは、むしろ当たり前だというべきでしょう。

昔のそういった考え方が原因かどうかはわかりませんが、日本人はサービス残業をさせられても管理者を追求しにくい思いがあるようです。会社に好きなように使われてしまっては、人生を棒に振るうのと一緒です。スキルを武器にして仕事する人は、相応の報酬を要求する権利があります。報酬に違和感があるのであれば、堂々と抗議しましょう。

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